更新日:2024年10月23日 | Masashi
VPNの選択に困っている方、クラウド型VPNとオンプレミス型VPN、どちらがあなたの要件に適しているのでしょうか?
この記事では、両者の主な特徴や利益、そして欠点について詳細に探ります。
安全で効果的なネットワーク環境を求めるすべての方にとって、適切なVPNの選択は極めて重要です。最良の選択をすることで、安心してネットワーク接続を楽しむことができます。
クラウド化が進む中でのVPNの重要性
近年、クラウド技術の進化と普及が進む中で、データの安全性が問題となってきました。そんな中、データを安全にアクセス・管理するための手段としてVPNの利用が注目されています。では、クラウド化の中でのVPNの役割とは何でしょうか。そして、VPNがなぜ重要なのでしょうか。
クラウド環境でのデータの安全性を確保するためには、VPNの利用は欠かせないと言えます。VPNがデータの暗号化やアクセス制限などの機能を持ち、外部の脅威からデータを守るための強固な壁となるからです。
クラウド型VPNのメリット
クラウド型VPNは、従来のVPNとは異なる特徴を持ち、多くの利点があります。特に、設定や更新の手間の削減、トラブル時の迅速な対応が挙げられます。このセクションでは、これらのメリットに焦点を当てて詳しく解説します。
メリット:設定や更新の手間が省ける
クラウド型VPNを利用すると、設定や更新の手間が大幅に削減されます。従来のVPNでは、設定や更新のための作業が必要でしたが、クラウド型VPNではこれらの作業が自動化あるいはサービス提供者が行うため、ユーザーは手間をかけずにVPNを利用できます。この結果、人件費等、企業や個人は時間とコストの削減を実現できます。
クラウド型VPNサービスを利用すると、VPNルーターの設定や更新作業がほとんど不要になります。特に多くの拠点を持つ企業にとっては、大きなメリットと言えるでしょう。以下に主なポイントをまとめてみました。
- 設定の手間が省ける: 各拠点に機器を設置するだけでOK。あとはVPN事業者が設定や管理をしてくれます。
- 迅速な導入: 各拠点での設定作業が不要なので、VPNをスピーディーに始められます。
- 運用の手間が省ける: 更新作業もVPN事業者が行ってくれるので、自社でスタッフを用意する必要がありません。
クラウド型VPNサービスを利用することで、設定や更新作業の手間を大幅に削減できるということになります。機材を購入して、VPNを設定し、管理している端末を管理するといった場合、機材の設定やアップデート、メンテナンスが不要になることがメリットです。
メリット:トラブル時の迅速な対応
もしVPNにトラブルが発生した場合、クラウド型VPNは迅速な対応が可能です。従来のVPNでは、トラブルの原因を特定し、専門家によって対処するまでの時間がかかることがありました。
しかし、クラウド型VPNの場合、トラブルの原因を迅速に特定し、自動的に対処する機能あるいはそれに関する専門家が一括で管理する機能が備わっています。これにより、ダウンタイムを最小限に抑えることができ、ビジネスの継続性を確保することができます。
クラウド型VPNサービスを使うと、VPNのトラブルや故障があったときも、すぐに対応してくれるのが魅力です。以下に、その主なポイントをリスト形式でまとめました。
- 障害の早期発見: クラウド上のセンターが各拠点のVPN機器の状態を常時監視しているので、問題があればすぐに気づくことができます。
- 運用工数の軽減: トラブルが起きたときの復旧作業も、VPN事業者が対応してくれるので、自分たちでの手間が省けます。
- 安心のサポート: 何か問題があったときも、専門のサポートが受けられるので、安心してVPNを利用することができます。
クラウド型VPNサービスは、故障やトラブルがあったときも迅速に対応してくれるので、安心して利用できるということです。
もし従来型のVPNで運用していた場合は、常に監視する人員をアサインしていないといけません。クラウド型VPNを使うことによって、その人件費が抑えられる効果があります。
大手パブリッククラウド型VPNの比較
近年、多くの企業や個人がデータの保存や処理のためにパブリッククラウドを利用しています。しかし、各クラウドサービスにはそれぞれの特徴や利点、注意点があります。
各クラウドサービスが提供するVPNの特徴を簡単にまとめました。以下に、その主なポイントをリスト形式で紹介します。
- SLAの高さ: すべてのクラウドのSLAは99.9%以上で、特にGoogle Cloud HA VPNは99.99%と最も高い。
- VPNの種類: ほとんどのクラウドでIPsec-VPNが利用できますが、SSL-VPNはAlibaba Cloud、AWS、Azureでのみ利用可能です。
- 最大接続数: 各クラウドによって最大接続数が異なりますが、特にAzureのIPsec-VPNは10,000と最も多い。
- 特記事項: Google CloudのHA VPNの高いSLAを得るためには、特定の構成が必要です。
各クラウドサービスは高いSLAを持っており、VPNの種類や最大接続数に違いがあることが分かります。選ぶときは、自分のニーズに合わせて選ぶと良いでしょう。
このようなクラウド型VPNは安定してサービスを提供しており、人の手によるメンテナンスを企業が独自で行うのは効率が悪くなっています。
パブリッククラウド型VPNの良い点
パブリッククラウドを利用する最大の利点は、コストの削減と柔軟性です。初期投資が少なく、必要に応じてリソースを増減できるため、中小企業から大企業まで幅広く利用されています。
パブリッククラウドを使うと、以下のようなメリットが得られます。
- 初期費用の節約: すぐに利用できて、初期費用がかからないサービスがたくさんあります。
- 料金の明確さ: 使った分だけの料金となる従量課金制が多いので、予算管理がしやすいです。
- 柔軟な運用: 必要に応じてリソースを追加できるので、効率的にシステムを運用できます。
パブリッククラウドは初期費用が低く、すぐに使えて、柔軟に運用できるのが魅力です。人材や機材の投入で、非常に高額な初期費用がかかり、尚且つ減価償却などの問題で、特定の年数を超えるとさらにコストが嵩む傾向にある従来型のVPNと違って、このような利点があります。
パブリッククラウド型VPNの注意点
一方、パブリッククラウドを利用する際の注意点としては、カスタマイズの制限が挙げられます。パブリッククラウドを使う際には、以下のような点に注意が必要です。
- カスタマイズの制限: 複数のユーザー向けのサービスなので、自分だけの特別なシステムを作るのは難しいことがあります。
- 互換性の問題: 既存のサービスやシステムと合わせるのが難しい場合があるので、事前に確認が大切です。
- サポートの待ち時間: 大きなトラブルが多発したときに、すぐに対応してもらえないこともあるので、その点を理解しておくと良いです。ただ、それは従来型と同じです。
パブリッククラウドは便利だけど、その企業だけにカスタマイズされたシステムを作るのは難しいとなります。特殊なVPN設定が必要な場合は、パブリッククラウド型は適さない可能性があります。
パブリッククラウド型VPNの料金について
パブリッククラウドの料金は、使用したリソースやサービスの種類に応じて変動します。多くのクラウドサービスは従量制の料金体系を採用しており、実際に使用した分だけを支払うシステムとなっています。
クラウドサービスごとのVPNの課金や料金について、以下のようにまとめました。
- 課金方式: ほとんどのクラウドサービスは「従量課金」を採用しています。ただし、Google CloudのIPsec-VPNトラフィックに関しては月額制となっています。
- 課金項目: 各クラウドサービスで異なる課金項目がありますが、データ転送料金は共通しています。
- 料金計算ツール: 各クラウドサービスは専用の料金計算ツールを提供しており、基本料金や概算料金を確認することができます。
各クラウドサービスは従量課金を主に採用しており、料金計算ツールを通じて料金を確認することができます。自分の利用状況に合わせて、最適なクラウドサービスを選ぶと良いでしょう。
どの程度のトラフィックが予想されるのか?によって、予算が決まってきます。まずは、その試算をするところから始める必要があります。
パブリッククラウドVPNの選び方
パブリッククラウドVPNを選ぶ際、まず最初に考慮すべきはその安全性です。VPNの主な目的は、安全な通信を保証することですので、セキュリティの強度や信頼性は非常に重要です。
信頼性の高いセキュリティ認証を持つVPNサービスを選ぶことで、データの漏洩や不正アクセスのリスクを低減することができます。次に、コストも重要な選択基準となります。
多くのパブリッククラウドVPNサービスは、月額料金や年間契約の割引など、さまざまな料金プランを提供しています。自分の利用目的や予算に合わせて、最もコストパフォーマンスの高いサービスを選ぶことが推奨されます。
パブリッククラウドのVPNを選ぶ際のポイントを以下のようにまとめました。
- VPN接続の種類: どのVPN接続を利用したいかによって、適切なクラウドを選ぶことが大切です。
- IPsec-VPN: どのクラウドでも利用可能
- SSL-VPN: Alibaba Cloud、AWS、Azureのみで利用可能
- 利用する地域: VPN接続を利用する地域によって、最適なクラウドを選ぶことができます。
- 中国向け: Alibaba Cloudが13のリージョンを提供しているためおすすめ
- その他の国: AWS、Azure、Google Cloudが多くのリージョンを提供
- 利用ユーザの数: VPNを利用するユーザ数に応じて、適切なクラウドを選ぶことが重要です。
- IPsec-VPN接続: Azureが最も多くの接続をサポート
- SSL-VPN接続: AWSが最も多くの接続をサポート
自分の利用したいVPNの種類、利用する地域、ユーザ数に合わせて、最適なクラウドサービスを選ぶことが大切です。
接続の種類、利用する場所、ユーザー数によるトラフィック量を計算した上で、どのVPNが良いか?を検討する必要があります。試してみる前に現在の状況を把握する必要があります。
プライベートクラウド型VPNの詳細について
プライベートクラウドは、特定の組織やビジネスのために専用に設計されたクラウド環境です。このセクションでは、プライベートクラウドの主な種類とその特徴について詳しく解説します。
プライベートクラウド型VPNの種類と特徴
プライベートクラウドには、主にホスティング型とオンプレミス型の2つの種類があります。それぞれの特徴や利点、注意点を理解することで、ビジネスのニーズに合わせた最適な選択が可能となります。
プライベートクラウドって何?以下のポイントを確認しましょう。
- 自社専用のクラウド: 他の企業と共有しない、自分たちだけのクラウド環境を持つことができます。
- カスタマイズとセキュリティ: コストはパブリッククラウド型よりも高額になりますが、自分たちのニーズに合わせて調整でき、安全性も高いです。
- ホスティング型とオンプレミス型: 事業者が提供するクラウドを使う方法と、自分たちの場所に設備を置いて使う方法があります。どちらも良い点と気をつけたい点があるので、よく考えて選ぶと良いです。
ポイントとして、プライベートクラウドは自分たちだけの特別なクラウド環境を持てるので、安全性やカスタマイズ性が高いです。
ただし、コストが高くなる傾向にあるため、特殊なVPN設定が必要な場合は採用することになります。
ホスティング型の良い点と注意点
ホスティング型のプライベートクラウドは、外部のサービスプロバイダーがホストする形式を取ります。このため、初期投資が少なく、専門的な知識がなくても迅速に導入することができます。また、サービスプロバイダーがメンテナンスやアップデートを行ってくれるため、運用の手間が軽減されます。
ホスティング型の良いところ
- 手軽にスタート: 自分たちの設備は必要ないので、すぐに始められます。
- 低コストである: 初期の出費が少なく、機器の購入も不要です。
- 時間をかけずに: 環境を整える手間がないので、導入が早いです。
- 機器の更新も楽: 新しいものに変えるときも、事業者にお任せできます。
ホスティング型の気をつけたいところ
- カスタマイズに限界: オンプレミス型より自由度が少し低いです。
- トラブル時の待ち時間: 何かあったときは、事業者の対応を待つことも。
ホスティング型は手軽でコストを抑えられる反面、完全なカスタマイズやトラブル時の対応には制限があることを理解しておきましょう。
ただし、パブリッククラウド型よりも自由度は高い傾向にありますが、ハードウェアを管理しないため、自由度はオンプレミス型よりは低くなります。
オンプレミス型の良い点と注意点
オンプレミス型のプライベートクラウドは、組織の内部に設置されるため、データの管理やセキュリティに関するコントロールが高まります。また、独自のカスタマイズや拡張が容易で、ビジネスの特定の要件に合わせて最適化することができます。
オンプレミス型の良いところ
- 自由にカスタマイズ: 自分たちのニーズに合わせてシステムやセキュリティを設計できます。
- 安全性が高い: 自社で管理しているので、セキュリティ対策もしっかりと。
- 迅速な対応: 何か問題があったとき、自分たちですぐに対応できますが、人件費が高額になります。
オンプレミス型の気をつけたいところ
- 初期コストが高い: 機器の購入や環境の構築にお金と時間がかかります。
- 運用が大変: 機器の管理や更新など、継続的な労力が必要です。
- 長い導入時間: 環境を整えるのに時間がかかることも。
オンプレミス型は高いカスタマイズ性とセキュリティを持つ反面、初期コストや運用に手間がかかることを理解しておきましょう。
一番自由度は高くなりますが、一番コストがかかる選択がこのオンプレミス型です。自由度を求めすぎるとこの選択をすることになりますが、コスト的に継続できなければ意味がないので、しっかりと検討しましょう。
まとめ:クラウド型VPNと通常のオンプレミス型VPNの違い
どのようなタイプのVPNがあなたのニーズに合っているのでしょうか?このセクションでは、それぞれの特徴と違いを明確にし、あなたの選択をサポートします。
クラウド型VPNとオンプレミス型VPNは、接続の安全性を確保するための2つの主要な方法ですが、それぞれには独自の利点と制約があります。パブリッククラウド型VPNは、外部のサービスプロバイダーが提供するクラウドベースのサービスで、初期投資が少なく、迅速に導入できるのが特徴です。一方、オンプレミス型VPNは、組織の内部に設置され、データの管理やセキュリティに関するコントロールが高まる利点があります。また、ホスティング型VPNは、パブリックとオンプレミスの間にあるものです。
クラウド型VPNはコスト効率と柔軟性を重視する場合に適しています。一方、オンプレミスVPNは、データのセキュリティやカスタマイズの自由度を最優先する場合に適しています。
選択する際は、ビジネスのニーズや予算、技術的なリソースを考慮して、最適な方法を選ぶことが重要です。費用対効果を考えながら、どのようなVPNを採用するのか?を検討する必要が出てきます。
コストが高すぎて肝心のビジネスに投資ができないとなると大きな問題になります。セキュリティのバランスを考えて導入を検討しましょう。
10年以上にわたりインターネットセキュリティの分野で活動しており、その間、数百社のクライアントのオンライン安全性とプライバシーを守るために尽力してきました。VPNの導入は、この長年の経験からも、インターネットの安全性を向上させる最も信頼性の高い方法の一つであると確信しています。